第10期 砂で世界旅行・アメリカ編 ~世界に誇る大自然と自由の国を訪ねて~

「マウントラシュモア」や「ニューヨークの摩天楼」などを作品モチーフに、アメリカの歴史や建物を表現した19体の砂像を制作展示。
茶圓勝彦氏をプロデューサーとし、海外から19名の砂像彫刻家が参加し、制作にあたった。

砂の美術館第1期作品画像 ネイティブアメリカン

ネイティブアメリカン

北米大陸の先住民アメリカンインディアン。彼らの祖先は氷河期にベーリング海峡を経てアジアより渡ってきたと言われています。太古のアメリカにいた人々は狩猟採集民族で、自然の恵みだけで暮らしていました。しかし氷河の後退でマンモスなどの大型動物が死滅すると、漁撈や農耕を組み合わせた生活へと変化し、広大な北米大陸の各地で様々な文化を築きあげていきました。赤黒い肌に鼻筋が通った力強いワシ鼻、艶のある髪に鳥の羽の装飾品、馬に跨り大地を駆ける勇敢な姿、トーテムポールやラクロスといったインディアンのイメージは多くの部族の特徴が合わさったものです。歴史により部族は大きく減少したものの、彼らは現在も伝統を守り誇りを胸に力強く暮らしています。 砂像彫刻者:Marielle Heessels(マリエレ・エイゼルス)/オランダ 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 アメリカの動物たち

アメリカの動物たち

アメリカの大自然にはたくさんの動物たちが暮らしています。特にロッキー山脈・アパラチア山脈の壮大な山岳地帯には、シカ科で最も大きく平たい角を持つムースや巻き角が特徴のビッグホーン、世界最強の熊グリズリー、群れをなすオオカミなど土地に根付いた固有種が多く存在しています。さらに歴史と深く関わってきたアメリカバイソンをはじめ様々な動物たちが厳しい自然環境に負けず力強く生きています。世界遺産や国立公園が多いアメリカでは生態系の保護が積極的に行われていますが、動物たちもまた私たち人間に豊かな自然を与えてくれるかけがえのない存在です。 砂像彫刻者:Karen Fralich(カレン・フラリック)/カナダ 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 西部開拓時代

西部開拓時代

18世紀後半に独立したアメリカ合衆国は、その後イギリスやフランスから次々と領土を手に入れ、国土は西へと急速に拡大していきました。“開拓した土地は開拓者のものとする”と国によって西部への開拓が奨励されたため、何百万人もの人々が土地や新たなる人生を得ようと幌馬車に乗り道なき道を進み西部を目指したのです。一方、この開拓は先住民から土地を奪うことでもありました、多くの犠牲のもとアメリカの開拓は進んでいったのです。西部開拓の中で培われた自由で進取、不屈の開拓者精神“フロンティアスピリット”は、ヨーロッパとは異なるアメリカ人独特の気質を形成しアメリカ民主主義の発展に大きな役割を果たしました。荒野を切り拓きたくましく生きる人々の姿は西部劇の中で語り継がれています。 砂像彫刻者:Dmitrii Klimenko(ドミトリー・クリメンコ)/ロシア 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 発明と工業の発展

発明と工業の発展

南北戦争の結果、統一された国内市場と豊富な資源の開発、科学技術の進歩を背景にして、米国の産業は急激な発展を遂げます。1869年に開通した大陸横断鉄道をはじめ、広大な国土を結ぶ鉄道網が発達し、人の交流と生産物の流通が盛んになると同時に鉄鋼業などの諸工業の躍進が促されました。それらは数々の発明・技術革新がもとになっており、マンハッタンとブルックリンを結ぶ世界初の吊り橋ブルックリン橋やグラハム・ベルの電話などが生まれました。なかでもトーマス・エジソンは白熱電球や蓄音機の実用化を成功させ、1300以上の特許を取得し“発明”という言葉を人々の身近なものにした偉大な人物です。彼らの功績は現代の様々な分野に引き継がれ今日の豊かな生活を支えています。 砂像彫刻者:Sue McGrew(スー・マクグリュー)/アメリカ 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 繁栄と世界進出

繁栄と世界進出

19世紀後半、鉄鋼や石油をはじめとする諸工業や農業の飛躍的な発展を遂げ、イギリスをしのぐ世界一の工業大国となったアメリカ。国内市場だけでは収まらず、海外市場進出への機運が高まります。さらに米西戦争の勝利で太平洋と東アジアへ進む為の拠点を得ると、資本主義から帝国主義となり国外への影響力を強めていきました。その後、セオドア・ローズヴェルト大統領の棍棒外交により、大西洋と太平洋を結ぶパナマ運河が建設されます。パナマ運河は経済的にも軍事的にも確固たる力となった他、ヨーロッパやアジア各地から大量の移民を受け入れ、多民族国家アメリカ合衆国を形成したのです。産業の繁栄は経済的成功だけでなく、政治の仕組み、社会構造、教育制度など、現在のアメリカの礎を築くものとなりました。 砂像彫刻者:Pavel Mylnikov(パベル・ミリニコフ)/ロシア 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 宇宙開発

宇宙開発

1958年、アメリカ航空宇宙局(NASA)が設立されるとアメリカの宇宙開発は著しく成長していきました。衛星の打ち上げに成功したソ連との宇宙開発競争が始まり、アメリカは人類を月に送り込むことを目指したアポロ計画を進めます。そして1969年7月、有人宇宙船「アポロ11号」で史上初の月面着陸に成功しました。人類がはじめて月に降り立った瞬間は世界中で放映され、革新的な宇宙開発によって世界中へアメリカの権威が示される出来事となりました。その後もスペースシャトルや国際宇宙ステーションなどの世界をリードする研究は続き、世界中の人々に夢や希望を与えています。 砂像彫刻者:Yang Lidong(ヤン・リドン)/中国 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 マウントラシュモアとグランドキャニオン

マウントラシュモアとグランドキャニオン

標高1745mの巨大な岩山マウントラシュモアにはアメリカ合衆国の建国と発展に寄与した4人の歴代大統領が彫刻されています。左からジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、セオドア・ルーズベルト、エイブラハム・リンカーンです。1927年から14年かけてつくられた像はアメリカ民主主義の象徴として広く知られています。手前に配置されたグランドキャニオンは、長い年月をかけ台地が川に浸食されたことで深さ1700mにも達する大渓谷になりました。古代からの地層が幾重にも積み重なった断崖はまさに自然の芸術です。また、砂像の足元には世界三大瀑布のひとつであるナイアガラをイメージした滝を設置しました。雄大な自然と歴史から浮かび上がる偉大なアメリカの姿を表現した作品です。 砂像彫刻者:Leonardo Ugolini(レオナルド・ウゴリニ)/イタリア 2018年1月7日 掲載

デラウェア川を渡るワシントン

デラウェア川を渡るワシントン

独立戦争初期の1776年12月25日、ジョージ・ワシントン率いる独立軍は氷のように冷たいデラウェア川を渡り、トレントンでイギリス軍への奇襲に成功します。開戦から苦しい状況下にあったワシントンの軍に初めてもたらされた勝利は、崩壊寸前とまでいわれた軍の士気を上げました。その後フランスの加勢もあり優位に立ったアメリカは、8年にもわたる戦いの末に世界最強といわれたイギリスを破りました。アメリカを独立へ導いたワシントンは合衆国の初代大統領となり大国の基礎をつくります。現在メトロポリタン美術館に収蔵されている絵画「デラウェア川を渡るワシントン」は彼の偉業を讃えるアメリカ独立の象徴として人々に愛されています。 砂像彫刻者:Ilya Filimontsev(イリヤ・フィリモンツェフ)/ロシア 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 	 ゴールドラッシュ

ゴールドラッシュ

1848年1月、カリフォルニアのアメリカン川でキラキラ輝く砂金が発見されました。瞬く間に噂は伝わり世界中から一攫千金を夢見る人々が殺到して「ゴールド・ラッシュ」がおきました。わずか数年間で30万人もの移民が集結したカリフォルニアは道路・学校・教会など次々と町の建設が進み、町はにぎわい都市となり州へと発展していったのです。鉄道や蒸気船の運行により人口は増加しさらなる新しい産業や流通を生み出します。探鉱者の必要とする道具やサービスを提供した者は巨額の富を築き、鉱夫のために作られた丈夫なズボン“ジーンズ”も当時の産物として有名です。多くの者に夢を与え世界を揺るがしたゴールドラッシュ、今日もまたどこかの川底で小さな金が光り輝いているかもしれません。 砂像彫刻者:Enguerrand David(アンゲフォン・ディビッド)/ベルギー 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 ニューヨークの摩天楼

ニューヨークの摩天楼

ニューヨークでは19世紀後半から高層ビルの建築が始まり、市内のマンハッタン島にはエンパイアステートビル、クライスラービルなどの超高層ビルが林立しています。これらは摩天楼と呼ばれアメリカを象徴する景観の一つです。島にはアメリカを代表する大企業の本社が多く所在し、経済の中心地でもあります。また、世界的に有名な美術館や劇場も多く、芸術面でも多くの人を引きつけています。マンハッタンの南にあるリバティ島に立つ自由の女神はアメリカ独立100周年を記念してフランスから贈られ、1886年に完成しました。アメリカの自由と民主主義の象徴あると共に、世界各地からやってくる移民にとって新天地の象徴にもなっています。 砂像彫刻者:Jon Woodworth(ジョン・ウッドワース)/アメリカ 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 アメリカの文化~映画産業~

アメリカの文化~映画産業~

アメリカでの映画制作はニューヨークを中心に行われていましたが、1911年にカリフォルニア州南部のハリウッドに最初の映画撮影所が作られて以来、ニューヨークと比べ気候が良いこの地が映画の都として急速に発展しました。1920年代に入り映画制作会社は専属契約を結んだ俳優の魅力を最大限に引き出す映画作りを行い多くのスターを輩出します。ヨーロッパでもハリウッド映画が受け入れられ名作・大作が生まれると、ハリウッドにはバイタリティと才能あふれる者が集まるようになり映画制作は黄金期を迎えます。巨額の制作費を投じてつくられる華やかな世界、近年多く見られる実写に見劣りしないCG映像などハリウッド映画は進化し続け観るものに驚きと感動をあたえます。 砂像彫刻者:Thomas Koet(トーマス・クォート)/アメリカ Jill Harris(ジル・ハリス)/アメリカ 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 アメリカの美術

アメリカの美術

1940年代、世界中でヨーロッパの美術が讃えられていた芸術界にアメリカの美術が旋風を巻き起こします。戦禍を避けるためヨーロッパからの移民が増えると、刺激を受けた国内の画家たちが活躍し抽象表現主義が注目を浴びるようになりました。ニューヨークがパリに代わって芸術の中心地となり、アメリカ独自のモダニズムが開花したのです。抽象表現主義の代表的な画家ジャクソン・ポロックは、絵の具を滴らせて点を描くドリッピングなど新たな技法で名を馳せました。1960年代になると、身近な日用品や風景・著名な人々をシルクスクリーンを用いて表現したアンディ・ウォーホルが台頭しアメリカの美術がさらに世界中へと広がっていきました。 砂像彫刻者:Wilfred Stijger(ウィルフレッド・スタイガー)/オランダ 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 ハワイ

ハワイ

青い空に輝く太陽、美しい海が広がる南の島ハワイ。太平洋に浮かぶ8つの島と100以上の小島からなるハワイ諸島は、一年中温暖な気候であるため常夏の楽園とも言われています。現在は米国50番目の州となりましたがハワイの歴史は数世紀も前から続いており、かつて王朝が築かれた時代から現代まで隆盛を極め独自の文化を形成しています。ハワイの物語・伝統を守り続ける詠唱や歌に合わせて踊るハワイ独特のダンス“フラ”、かつては王族のスポーツだった“サーフィン”はハワイの文化や人々の美しさを象徴する世界的なシンボルとなり多くの人々を魅了しています。 砂像彫刻者:Wilfred Stijger(ウィルフレッド・スタイガー)/オランダ 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 アメリカ独立宣言

アメリカ独立宣言

アメリカ合衆国の歴史は1776年7月4日に採択された独立宣言によって始まります。元々北アメリカ大陸の東海岸はイギリスの植民地であり、13の州がそれぞれに自治を行っていました。しかし本国イギリスが使い過ぎた戦費を補うため植民地に増税を要求したことで植民地の人々はイギリスからの独立を考えました。フランスをも巻き込んだ戦いのあとアメリカの独立が認められ、ついにアメリカ合衆国が誕生しました。国王が存在しない、市民が平等に主権を持つ初めての国となったのです。独立宣言の原案のほとんどは後の第三代合衆国大統領であるトーマス・ジェファーソンによって書かれました。独立宣言に記された「すべての人は平等につくられている」で始まる建国の理念は今でもアメリカ民主主義を表現する言葉として引用されています。 砂像彫刻者:David Ducharme(デイビッド・ドゥシャーム)/カナダ 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 南北戦争とリンカーン

南北戦争とリンカーン

アメリカ合衆国が南北に分かれて戦った南北戦争は、南部の11州が新たな国を作り合衆国連邦からの離脱を図ったことから始まりました。1863年、合衆国大統領エイブラハム・リンカーンが奴隷解放宣言を発布すると南北戦争の目的が南部の分離阻止から黒人奴隷の解放へと変わり、国際世論の支持を受けた北部が優勢になりました。その後南部連合国が降伏しアメリカは再び一つの国として歩み出したのです。しかし数日後にリンカーンは南部支持者に銃撃されこの世を去ります。「人民の、人民による、人民のための政治」という演説でも知られるリンカーンは奴隷解放の父といわれ、アメリカ合衆国を分裂の危機から救った偉大な大統領として尊敬されています。 砂像彫刻者:Susanne Ruseler(スザンヌ・ルセラ)/オランダ 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 アメリカの文学『アンクルトムの小屋』

アメリカの文学『アンクルトムの小屋』

19世紀、アメリカ南部では綿花栽培が盛んに行われ、その多くはアフリカから連行されてきた黒人奴隷たちの過酷な労働で成り立っていました。彼らは人として対等に扱われることはなく、労働力として売買される辛い日々を送っていました。小説「アンクルトムの小屋」は黒人奴隷であるトムの数奇な運命を描いた物語です。奴隷の厳しい現状と自由の尊さを訴えたこの本はベストセラーになりました。一冊本をきっかけに奴隷制の非人道性が国内外に広く伝わり、時代は奴隷制廃止へと動き始めたのです。 砂像彫刻者:Melineige Beauregard(メリネイジ・ビュリガード)/カナダ 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 アメリカの音楽

アメリカの音楽

アメリカの音楽はブラックミュージックであるブルースから始まり、様々なルーツを持つアメリカ人の文化と混ざりあいながらリズム&ブルース、ロックなどたくさんのジャンルに発展していきました。20世紀初頭にはブラックミュージック最大のジャンルであるジャズが生まれました。アメリカのニューオリンズの歓楽街で初めて演奏されたといわれているジャズは時代の流れとともにシカゴやニューヨークへと伝わり、1930年代にはビッグ・バンドスタイルによるスウィング・ジャズが全盛期を迎えました。現代のポピュラーミュージックにもブラックミュージックの影響を受けたアーティストが多く、アメリカの音楽は世界中で愛されています。 砂像彫刻者:Andrius Petkus(アンドリュース・ペトクス)/リトアニア 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 アメリカのスポーツ

アメリカのスポーツ

アメリカ社会では幼いころから様々なスポーツをプレーする機会に恵まれ、観戦も年間を通じて楽しめるためスポーツが生活に深く根付いています。アメリカンフットボール、バスケットボール、ベースボールなどが特に人気があり、プロリーグで活躍する選手は他国とは比べ物にならないほどの富と名声が得られます。また、自由の国アメリカでは様々な国籍の人々が暮らしていますが、スポーツにおいては努力によって人種や身分に関係なく功績を残すチャンスがあります。このアメリカンドリームがスポーツ大国アメリカをつくりあげた原動力のひとつなのかもしれません。 砂像彫刻者:Daniel Doyle(ダニエル・ドイル)/アイルランド 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品画像 アメリカンライフ

アメリカンライフ

第二次世界大戦後、世界の経済の中心となったアメリカは安定と繁栄の時代を迎えます。郊外にはたくさんの家が建ち並び、テレビや冷蔵庫などの家電製品に囲まれ、ラジオから流れる音楽にネオンの看板が輝く街を車が走る…これらの華やかな暮らしは“古き良きアメリカ”と語り継がれ、現在のアメリカのライフスタイルを築いていきました。1950〜60年代に生まれたファストフードやテーマパーク、自動車はアメリカの社会の豊かさを象徴するだけでなく、コンシューマー・カルチャー(消費文化)として各国に広がり世界中へ影響を与えました。 砂像彫刻者:Dan Belcher(ダン・ベルチャー)/アメリカ 2018年1月7日 掲載

砂の美術館第1期作品 20全ては歴史の一頁(ページ)

全ては歴史の一頁(ページ) ―独立宣言から241年(7月4日)―

2017年7月4日、独立宣言から241年を迎えるアメリカ合衆国。先住民のインディアン(ネイティブアメリカン)に加え、ピルグリムファーザーズをはじめとするヨーロッパ系の人々やアフリカ・中東からの移民が増え多民族国家が形成されてきた。その歴史の1ページ1ページが現代のアメリカ合衆国へと繋がり、新しい大統領によって新たな歴史がつくられようとしている現在(いま)のアメリカを表現している。 砂像彫刻者:茶圓勝彦(ちゃえん・かつひこ)/日本 2018年1月7日 掲載